ハンドクラフトとアンティーク蚤の市をミックスさせた大規模アートイベント「ハンサムジャンク」を主催・運営する関博弥さん。こだわりのある人とモノが大好きで、そのこだわりが放つ魅力を何かのカタチにしようと精力的に活動しています。アウトドアカルチャー&キャンプシーンを次世代に繋ぐイベント「MOVE FUN CAMP」などキャンプイベントも企画運営、老舗カフェBarを舞台に映画にまつわるゲストを迎えるトークセッション「カタルシネマ」の動画配信など、分野を問わずにアンテナを張り巡らして活動中です。

|至極の一言|
人間同士の対話でしか生まれないものってあるんじゃないかな。

昭島で大規模アートイベント「ハンサムジャンク」を開催

崎谷:昭島のアウトドアビレッジで多摩エリア最上級のアートイベントといわれる「ハンサムジャンク」を運営されていましたが、どのようなイベントでしょうか。

関:アウトドア系の商業施設アウトヴィレッジで、2017年から3年間にわたって、ハンドクラフトとアンティークの蚤の市のイベントを年に2回開催していました。自分がいいなと思うハンドクラフトと、欲しいなと思えるアンティークを集めたイベントで、出店者は130組ほど集まりました。自分の方ではハンドクラフト、共同運営しているもう一人がアンティーク担当です。

崎谷:昭島ではいろいろなイベントをやっていますが、あそこまで大きいものはなかなかなかったと思います。130組集めるのも大変だったと思いますが。

関:知り合いだった作家さんが、他の作家さんを紹介してくれるうちに、広がっていきました。また、会場に来てくれた作家さんが、自分からどんなものを作っているのかアピールしてくださることもあり、それはとても嬉しい出会いでした。実際に会って話すことで、人柄や熱意などが伝わってきますし、イベントの回を重ねることで出会いが増え、お互いに大きい収穫になります。
イベントを開催する時には、その時のテーマを決め、作家さんをどんな組み合わせで展開したら面白くなるかなど、訪れる人が宝探しできるような出店構成を考えているので、いろんな方と繋がっているのは大事なことです。

崎谷:どんな作家さんが多いですか?

関:アクセサリー系や楽器、家具、服飾の方などバラエティ豊かです。アンティークの方もいろんなジャンルの方がいらっしゃいます。ヨーロッパやアメリカ、チェコ、エスニックなど、一カ所のイベントでこれだけのバラエティは他ではなかなかないと思います。
ハンドクラフトの作家さんは、「こういうのが売れるから創る」ではなく、「好きだから創っている」というエネルギーが感じられる人ばかりです。頭ではなく心で衝動的に創ってしまった、という良い作家さん達。
毎回、新しい作家さんとの出会いに感謝しています。

今の活動の原点となっている「ガレリアサローネ」

崎谷:「ガレリアサローネ」というお店を経営されていらっしゃいますが、このお店がスタート地点ですか?

関:サラリーマンを辞めて、しばらくしてからスタートしたお店です。当時、子供を授かって結婚したばかりの美容師だった妻のために、ヘアサロンを開業しようと考えました。

ガラス張りで路面への抜け感がいい物件が立川で見つかったので、その空間をヘアサロン兼カフェ、ギャラリースペースとして活用するアイデアが浮かびました。「ガレリア」(ギャラリー)の語源は吹き抜けという意味があり、「サローネ」は集う場所や発表する場所という意味があります。ガラス張りの吹き抜けのスペースで、作家さんの作品を展示すると、空間自体の空気も変化していきます。心地いい空間です。こういった場所で、いろんな作家さんともご縁ができて、ある意味、ここが出発点だったと思います。

今は小金井市の昭和風情の残る平屋に拠点を移しました。木造建築で畳の生活で、外を見ると原っぱが昔のまま残っていたり、川があってといい環境です。

崎谷:アウトドアカルチャーとキャンプシーンを次世代に繋ぐ「MOVE FUN CAMP」という活動もされていますね。どういった活動ですか?

関:「ハンサムジャンク」をやっているアウトドアヴィレッジから、初心者の方がキャンプを始められるアウトドアイベントの企画依頼がありました。その頃、初心者の方向けの気軽なイベントがなかなかありませんでした。ハンサムジャンクの共同代表が、ヨーロッパからのビンテージテントやキャンプ道具の輸入をしていたこともあり、知り合いにおしゃれキャンパーやオートキャンパーの達人が多かったことも幸いしました。
この方たちにキャンプの見本を見せてもらったら、初心者も分かりやすいかと。このイベントに来れば必要なものがわかり、その場で購入することも可能です。このイベントでキャンプを経験して、ステップアップして実際のキャンプに出かけていくという、足がかりとなるイベントになったと思います。

崎谷:キャンプの道具って、どれがいいのか分からないことがあります。キャンプに行く時には、一緒に行く慣れた方にお任せだったりするので、自分で商品を選ぶのが難しかったり。分厚いお肉を焼くにはどうしたいいかなども迷います。

関:「MOVE FUN CAMP」のイベントだと、キャンピングカーやキャンプシーンでのBBQのワークショップも開催していました。今は、機械に任せっぱなしで調理できる機器もあり、塊肉も機械に入れたら放置です。センサーで焼き加減を管理します。自分たちはスマホで肉の焼き具合を知ることができます。また、ワークショップでは、食肉の衛生面での管理なども学べますが、これは普段の生活でも使える知識でもあります。

輝くものを埋もれさせないために、アーカイブに残したい

崎谷:老舗カフェにて、映画にまつわるゲストをお迎えするトークセッション「カタルシネマ」を始めていらっしゃいますね。

関:映画が好きなので、何かできないかと思い、始めた動画配信です。自分は裏方として支えていますが、63歳で60−70年代の劇場鑑賞にこだわっている方を生き字引として、トークセッションを行っています。作品にまつわる知識が豊富で、これをネットにアーカイブしたいという思いがありました。とても深い内容の話ばかりです。映画は作り出されても、見る機会がない映画が結構あります。なんとかしたいです。

崎谷:今では視聴できること自体が贅沢になってしまっていますよね。ネット配信会社が選んだものから見るような、コントロールされている感がありますね。

関:ビジネスなので、見てくれる人がいないと映画館で上映されないし、他のコンテンツも視聴者からお金をもらっている以上、それが回らないといけない。
昔は、マニアックなものでも棚に並んでいて選べたのに、今はそれがないですよね。その棚ですら勿体ないだとか、そういうことになっている。
雑誌とかもそうですが、未知との遭遇をさせてくれる、橋渡し的な存在の媒体がなくなっている。ネットだと最短距離で辿りつけるんだけれども、それ以外に出会えないから勿体ないことだと思います。AIにコントロールされたところでしか出会えない。
でも、人間同士の対話でしか生まれないものもあるんじゃないかと思っています。

崎谷:関さんは人間好きという感じがしますね。

関:人間関係を構築していくのがとても好きです。誰にでもストーリーがあるので、いろんな人のドキュメンタリーを見てみたい欲が強いです。作家さんと接している時も、素敵な瞬間を見せてもらっているという思いがあります。

崎谷:その関さんと、今度ラジオをやっていくことになっています。小平市、清瀬市、東久留米市のエリアで放送されるTOKYO854にて、第4月曜日14:00〜「個性賞賛アワー」のパーソナリティを務めてもらいます。

関:お互いに交互でゲストを呼んで紹介し合う「個性賞賛アワー」ですね。ハンサムジャンクなどで知り合った個性的な作家さんやショップの方なども紹介していきたいと思っています。どんな番組になるか、楽しみにしています。

【関博弥さんprofile】
2013年に広告会社を退社後、2015年ギャラリー併設のヘアサロン&カフェ「ガレリアサローネ」を立川市で夫婦で開業。ハンドクラフトとアンティーク蚤の市「ハンサムジャンク」の企画・運営、アウトドアカルチャー&キャンプシーンを次世代に繋ぐイベント「MOVE FUN CAMP」開催、映画にまつわるトークセッション「カタルシネマ」の動画配信などで活躍。2021年7月より小平市、清瀬市、東久留米市の地域ラジオTOKYO854にて、第4月曜日14:00〜「個性賞賛アワー」のパーソナリティを務める。

ハンサムジャンクHP

投稿者

さきや 未央

★ 編集歴25年以上★「旅」と「子育て」雑誌を200冊編集★「観光とまちづくり」の取材を8年間★ 多摩の社長100人にインタビュー