「ふらっと来ても誰かに会える場所」がコンセプトの複合施設「すごしばハニカム」の代表川里富美さん。川里さんは、育児ママを孤立させない場所作りや起業したいママのお手伝いなど、みんなの背中を押したり、ときには手を引っ張ったりと、多くの人を巻き込んで何かを形にする活動を長年続けてきました。小平市の市議会議員も務め、行政の面からも市内に住む女性たちをエネルギッシュな活動で支えています。

|至極の一言|
「ヒトとコトをつなぐ」が私のキャッチフレーズ。がっちゃんこするのが大好きです。

孤立せずに、自分の居場所を持ってほしい

崎谷:2021年4月に小平市にオープンさせた「すごしばハニカム」はどのような場所ですか。

川里:「すごしばハニカム」は3つのスペースに分かれています。1つ目のキッズスペースは、幼児や小学生まで幅広い年頃の子どもが利用できる場所です。キッチンも付いているので、将来的には子ども食堂をやりたいと思っています。(現在月1回子ども食堂開催)
2つ目のスペースはシェアオフィスです。テレワークやセミナールームとして使える場所で、自宅でも会社でもない3つ目の場所という意味で「サードプレイス」と呼んでいます。
3つ目はシェアサロンです。「サロンを開きたいけれど、自宅では抵抗がある」というような方にも使っていただけるスペースで、ヨガなどもできるスペースがあります。

崎谷:とても大きな施設ですね。どのような思いがあって作られたスペースなのですか?

川里: 15年ほど前から構想を持っていたのですが、実現はせず。動いた一番はコロナの影響です。緊急事態宣言で保育園を閉めざる負えなくなり、「子ども達の行く場所がない」「ママたちも行く場所がない」といった人たちのための場所を作りたいと思いました。今、私の息子は17歳ですが、子どもがまだ小さかった頃の自分が感じていた辛さを、今のママに体験させたくないという思いが根底にあります。
また、学生がオンライン授業になり孤独を感じているので、このような場所に来て授業を受けたり、今までハンドメイドをしているお母さんも支援してきたので、このような場所を作りたいと思っていました。

崎谷:複合的な場所にしたかったのでしょうか。

川里:一つ一つは別なもので複合的ではないのですけれども、子どもって1歳違えば悩みも変わり、需要が違ってきます。いっときだけではなく、欲をいえば全世代の支援につながるような場所を作りたかったのです。

崎谷:構想としては、大きい印象ですね。今までの思いとか積み重ねがあって今に繋がってきているのだなと思いますが、この活動の原点は何でしょうか。
出産した病院でママたちと繋がり、育児サークルを立ち上げたそうですが。

川里:同時期に同じ病院で出産したママ、検診などで知り合ったママと繋がり、サークルを立ち上げました。公民館を借りて定期的に集まり、お花見やピクニックなどにも出かけ、交流の場を作りました。それでも、出産した頃は、慣れない土地であったこと、子どもがなかなか寝ない子だったことから育児ノイローゼのような状態に。子どもは可愛いくても、ストレスで手を上げてしまう人の気持ちも分かるような気がしました。
そんな中、サークルに来ている仲間のママから「実は昨日、同じマンションに住むシングルマザーの方が亡くなった」と話がありました。玄関でママが自死しているのを当時3歳くらいのお子さんが見つけ、助けを求めに来たと。
もし、ここのサークルに呼んでいたらこんなことにならなかったんじゃないかと。この方の子どもとうちの子の年齢が違ったので、子ども同士・親同士の交流がなく、サークルでは一緒ではなかったのですが、本当はひとりぼっちで悩んでいるママがいるんじゃないかと思いました。こんな経験が、今の活動の根底にあります。

ママが元気になるプロジェクト「ライオンハウス」を開始

崎谷:ハンドメイドの作家さんを支援する「ライオンハウス」の代表も務められていますね。

川里:子どもが幼稚園の時、役員をすることになりました。季節の行事を担当した時に、周りのママで「プリザーブドフラワー教えられる」とか、「アロマスプレー作れる」というママが多くいました。それを仕事にできたらいいけれども、場所探しや生徒の確保が大変だからできないと、みんな思っているようでした。「私が場所を確保して生徒を集め、当日の保育もしたらやってみる?」と聞くと「やる」というので、「では、やりましょう!」と。
集会所を借りて、ワンデーレッスンを行うサークルを立ち上げました。利益はありませんが、そこで何回かやって自信をつけた人は、自宅で始める人もいました。創業サポートのようなものですが、当時はまだそういう仕組みもありませんでした。たまたま広告の仕事をしていたので、名刺作りやホームページ作成も手伝えました。
私のキャッチフレーズは「ヒトとコトをつなぐ」です。悩みがある人がいれば、「こんなことできる人がいるよ」と、そのことに特化した人を紹介して、がっちゃんこするのが好き。いろんな人がいろんなパーツを持っていので、それを繋ぐのが好きです。

崎谷:また、東日本大震災が起きた時は、ハンドメイドでのイベントの売り上げを寄付することも開始されましたね。

川里:震災の時、ハンドメイドの作家さんから被災地に向けて何かできないかと相談がありました。何かしたいとの思いもあったので、被災地でハンドメイドをやっている人たちと繋げました。仕入れをこちらで引き受けたり、こちらで販売したものを寄付するなどしていました。
私は、チャリティはやる方も受ける方も何か楽しみがないと続かないと思っています。11回ほどチャリティのイベントをやってきましたが、訪れる人が「チャリティだから」ではなく、楽しいイベントだから来たと思って欲しいです。どんな活動も続けていくことが、課題だと思いますが、楽しくないと続かないです。

大規模なハンドメイドのイベント「みんデパ」を開催

崎谷:小平で川里さんを知っている人は、市議の方という印象や「みんデパ」を開催されている方という印象を持っているのですが、「みんデパ」とはどういったものでしょうか。

川里:ハンドメイドのチャリティから始まって、イベントを開催していましたが、そこで同じような活動をしている森楓さんと友達を介して知り合いました。森さんは「mon Favori」というハンドメイドグループを持っています。お互いのハンドメイド作家さんを合わせたら、大きなイベントができるのではないかと。
かねてから公園で開催したいと思っていたので、東部公園でイベントを開催しました。起業しているお店などにもご協力いただいて、食事のブースやミュージシャンが出演するステージも用意しました。

崎谷:今では小平を代表するようなイベントになりましたね。

川里:評判を呼び、ガスミュージアムからもお声をいただいて、そちらでは年に4回開催することにもなりました。今後は、花小金井のハンドメイド作家さんの作るものが、代官山や吉祥寺で売れているような価格になること、作家さんが「みんデパに出店」と履歴書に書けるようなイベントにしていきたいと思っています。

【川里富美さんProfile】
小平市で子育てをしていく中で、活躍したい女性を後押しする仕組みの必然性を感じ、独自の人脈をつないで支援活動を始める。ママが元気になるイベント主催「ライオンハウス」代表、ビューティーサロン「ハクナマタタ」運営、2019年より小平市市議会議員就任。2021年に「すごしばハニカム」をオープン。地域で創業している店舗、作家を支援するための大規模なイベント「みんデパ」の企画・開催を主導。

https://youtu.be/nutoL7seHus

投稿者

さきや 未央

★ 編集歴25年以上★「旅」と「子育て」雑誌を200冊編集★「観光とまちづくり」の取材を8年間★ 多摩の社長100人にインタビュー