2003年に設立し、エンジニアの人材派遣や国内企業へのIT技術提供などを行う「株式会社GIB JAPAN。同社のCEOを努める宮本圭一郎さんは、フリーランスのITエンジニアだった頃からエンジニアコミュニティの運営に着手するなど、「場づくり」「人集め」を得意としてきました。2018年にはオンラインのマーケットプレイス“Udemiy”で物体検出の講座を公開、同年にPyTorch(機械学習ライブラリ)ハンドブックやNumPy&SciPy数値計算実装ハンドブックの出版に関わるなど、国内エンジニアのスキルを底上げするためのツールづくりにも力を入れています。
|至極の一言|
みんなでレベルアップして、少しだけ強かった日本を取り戻したい
みんなでレベルアップして、少しだけ強かった日本を取り戻したい
貿易からシステム開発まで
幅広く展開するGIB JAPAN
幅広く展開するGIB JAPAN
崎谷:まず初めに、GIB JAPANというのはどんな会社か教えていただけますか?
宮本:ちょうど今年で20期になる会社で、最初は貿易、そしてインフラ系の人材派遣から始まりました。私がジョインした3年前からはシステムの開発をスタートして、今は「貿易」「ITエンジニア派遣」「システム開発」の3つを柱に事業を展開しています。オフィスは新大久保にありますね。若手のエンジニアのために、社員寮も用意しています。
シェアハウスで出会ったエンジニアたちとAIブーム
崎谷:今は経営者として活躍されている宮本さんですが、最初の勤務先・オービックビジネスソリューションズから学んだことは?
宮本:利益率はIT業界ナンバーワンだと思います。会社の根幹である経理を担っているので、業務基盤や原価管理がしっかりしていて、ほとんど社員全員が簿記2級とか銀行員の業務資格を持っていました。
あとは、人と人との組み合わせ方がものすごくうまかったですね。会社に定着させる施策が良くできていました。ただ、私は安定しているより、ワクワクしながら仕事したいなと思って会社を抜けました。
崎谷:そこからどういう風にステップアップしていったのでしょうか。
宮本:御徒町にある「ギークハウス」というオタクだけ集まるようなシェアハウスで、ベンチャーの社長や魅力的なエンジニアと出会いました。iPhoneが出る5年前から携帯をなくさないためのIOT札を作ってる人がいたり、会計ソフトのfreee(フリー)も数人のエンジニアが作っているのを見たり……、自分もそうなりたいと思いました。
独立している人にもたくさん会って、ベンチャーの仕事を手伝ったりアプリ開発やプロダクトの仕事を請けたりするようになっていきました。
2016年くらいからAIブームがきて、勉強会をやる中でAIの仕事にも応募しました。ドワンゴの創業メンバーの一人、優秀なプログラマーがAIの会社を立てるから一緒にやらないかと。そこから最先端の仕事をするようになっていきましたね。
秋葉原でのエンジニアコミュニティと
GIB JAPAN創業者との出会い
GIB JAPAN創業者との出会い
崎谷:コミュニティで培ったもので会社経営に反映されている部分はありますか?
宮本:フリーでやっていくなかでスキル的にもう一軸欲しいなと思ったんです。エンジニアだけやっていても、自分よりできる人はたくさん存在します。それで、自分は小さい時から人を集めるのが得意だったと思い出したんです。鬼ごっことかでもみんなを集めていたというのに気づいて、これは集める系でいこうと(笑)。
同時期にエンジニア仲間が抱えていた、イベント場所が見つからない、取るのが面倒くさいという問題がありました。「そんなに面倒なら取ってあげるよ」と会場を押さえたり、イベントページを作ったり。そうしているうちに集客のノウハウができてきました。
秋葉原のコワーキングスペースもオープン記念なのに全然人がいなかったんですが、私がAIの勉強会を企画したら満員になっていきました。そこからどんどん人が来るようになったものの、やはり利益率は悪かったですね。そんな時にGIB Japanの創業者に出会ったんです。
崎谷:利益率とやりがいのバランスは難しいですよね。利益にならないけどやりたい!という地域コミュニティが育っていくと、そこで価値が生まれてくるのかなという気もします。
宮本:いまの時代は利益率が高くなくても、夢でお金が集まる可能性があると思います。しかもそれは非常に意味がある。
いろんな分野の義務教育でないところで、教育レベルを上げるサービスを提供する――そんなハブになれたらいいなと思ってます。
父の背中、勉強への反発
崎谷:家族の影響があったのですか。父親の背中が大きいという話も伺いましたが。
宮本:父がすごかったというよりは、どちらかというと反面教師ですね。今の僕より裕福な暮らしをしていたのは間違いないです。小学校のときは月200万円もらうような親の姿を見ていましたが、良い暮らしではあるけど全然楽しくなかったです。
だから究極の選択を迫られたら、お金よりも楽しい方がいい。
崎谷:幸せというのは、夢を持ちながらというところがあると思うんですが。
宮本:新しい目標、自己実現の欲求が楽しいですよね。
いつもいいご飯を食べて外車に乗ってるからって、全然楽しくない。
人のレールに乗るよりも、「社員のためにがんばろう」の方がはるかに楽しいです。
高校のときに両親が離婚して、生活水準がいきなり変わりました。母親が働いても稼げなくて苦労する姿を見ていましたが、親から勉強しろと言われても反発してました。
木の下に寝ている子どもたちと出会い、恵まれた自分に気づく
宮本:たまたま小学校の友達が、家族ごとミャンマーに移住したんですね。大学の時に現地へ遊びに行ったら、小さい子が100円のポストカードを売りに来るんです。どこで寝るのか聞いたら、僕の泊まっていたホテルのすぐ近くにある木の下で寝る、親は遠くにいると。
それを見て、自分はなんで日本の恵まれた環境なのに勉強しなかったんだろうと思いました。
そこから何かがガラッと変わり、人から遊びに誘われても断ってずっと勉強してました。
大学2年の途中くらいからかな。必死になって、いつも本を5・6冊持ち歩いてました。
崎谷:その時にIT系、プログラミングの仕事がいいなと思ったんでしょうか。
宮本:大学ではプログラミング学科だったので。やり始めたら楽しかったです。
高校の時にハマったアメーバゲームのようなものが作れたらいいな、とはふんわり思いながら…経営をするならITもいるでしょと。
親も親戚も経営者でしたから、子どもの頃からこういう本を読めとか、大学の時には四季報を読めと言われました。四季報に関しては遅いくらいですけど。
努力より夢中であるべき
崎谷:ミャンマーで気づいて、そこから努力して今があるんですね。
宮本:「努力」ではなく「夢中」であるべきだと今は思います。僕はずっと努力してきたのですが、5年ぐらい前から「がんばってたらダメだな」と思い始めました。
本当にうまくいっている人って、滅茶苦茶がんばってるんだけど表に見せない。本気でやりたいからやっていて、“がんばっているレベル”を超えてすべてが見えない状態。そういうゾーンに自分をいつも置いていたいなと思うようになったんです。
崎谷:楽しそうにするのも難しいと思いますが、意識して変えていく中でAIや最先端を選んでいったんですか。
宮本:新しいものが好きなんです。こういうの作れたらいいな、というワクワク感があります。例えば学習塾から、オンラインで生徒さんの理解度を音声から出してくださいとか(笑)そんなのできるかなって思いながらも、いやできるかも?と。チャレンジできると楽しいですし、もっと言うと、それが世の中でいっぱい使われていったらうれしい。
崎谷:難題が突き付けられて、それにチャレンジしていくのが楽しいんですね。
宮本:人のためにやっていた方がやる気が出ます。誰かを助けているとき、誰かにみてもらってるときのほうが、力が出るんです。会社のメンバーが新しいものをできるようになった瞬間を見ると、心からうれしいんです。いろいろ言われて良いことも悪いこともありながらも、エンジニアと一緒に成長できたときにこの仕事の醍醐味を感じます。渡り鳥が集団で飛ぶように、風を受ける先頭をうまく交替しながら、レベルの高い集団を作っていきたいです。
崎谷:GIB JAPANでは今、一緒に働く仲間を募集されているんですよね。
宮本:はい。私たちは世界的に勝負できるような会社を目指していますが、それには優秀なエンジニアがもっと必要です。
エンジニアが営業をするのは非効率ですが、うちの会社では敢えてそれをやる。エンジニアのことや技術をわかっている人が営業するので、その人に合った仕事をしっかりとマッチングできる点が強みです。
「3年後にこの技術を身につけるためにはどの案件がいいか」など、次のステップへ進むためのキャリアプランも一緒に考えるので、技術を高めてもっと成長していきたい前向きな人が向いていると思います。
今の会社に満足できない、成長する機会が少ないと感じている方からのご応募をお待ちしています。
Profile
AIシステムやWEBシステムの開発事業、人材派遣事業などを軸とする「株式会社GIB JAPAN」CEO(2019年1月就任)/「社団法人日本人工知能協会」理事。ミャンマーへ旅行した際に家がなく樹の下で寝ている子どもたちの姿を見て、恵まれた状況に甘んじていることに気がつき猛烈に勉強を始める。オービックビジネスソリューションズで3年勤務したのち、2012年にフリーランスのエンジニアとして独立。モバイルから機械学習まで数々の開発に従事し、SONYや楽天などから独立した複数のベンチャー企業の事業に携わる。中級エンジニアがレベルアップする場をつくるため、2015年から運営を始めたコミュニティは現在総計1万人以上に成長。2018年にはUdemyにて物体検出の講座を公開し、同年にPyTorchハンドブック、NumPy&SciPy数値計算実装ハンドブックの出版に関わる。